古い充電器改造 2題 

ニッケル水素電池とリチュウムイオン電位の充電器
リチュウムイオン電池の充電については検討考察しながらの実験です。

ja1cvf  0804
*下の方です 追記 ja1cvf 1101 


電子機器に使われる2次電池の進歩には目を見張るモノがあります。

ニカド電池が一般に売り出されたのが確か東京オリンピック(1964年)の頃
容量も大きくなり、環境負荷の軽いニッケル水素電池も出現。
ノートパソコン、デジカメ時代になりリチウムイオン電池も大人気です。
それと同時に本体の交換などで充電器も余ってきました。

それをどうするか!それが今回のテーマです。
容量が大きくなり、古い充電器はほとんど役に立ちません。今風に改造してみました。
リチュウムイオン電池などは火災の危険もあります。これはとても大事なことです。

電子機器に使われる2次電池(充電できる電池)身の回りにあふれていますがいつも気になるのが予想以上に寿命が短いことです。「この電池は充分使ったな!ご苦労さん」という気持ちにはならないのです。
「えっ!もうダメなの」いつもそう云う感じが残るのです。でもよく考えてみるとヒゲ剃りの電池、歯ブラシの電池これはずいぶん使えます。買った時を忘れるほどです。
なぜこういうことが起きるのでしょう。
この理由は電池だけの責任では無さそうです。
ヒゲ剃りや歯ブラシは使うときも充電するときも穏やかで電池にやさしい使い方をしてるように思います。
それに比べ、デジカメやパソコンなどはかなり厳しい使い方をしてるようです。使い方によっては数時間で電力を使い切ります。電動工具に至っては数分、数10分で電力を使い切るというような使い方をしています。これでは寿命が短くなっても仕方がないのかもしれません。

電池は何も断りがないときその容量などを示すとき10時間率という条件があります。
2000mA/hの電池は200mAを流したとき10時間使えると云うことです。
充電も同様で10時間率で充電し1.5倍の容量を充電するのが標準的な方法です。1.5倍というのは充電に使った電力がすべて電池に溜まらない損失部分が含まれているのです。

電池を使うとき一本で使われることは少なく複数を直列(まれに並列)にして使われます。
直列になった組電池を使ったときバラツキのためどれかが足を引っ張ることがあります。これは充電の時も同じことです。
大電流を流すときにはその影響が大きくなり、だんだんバラツキが大きくなります。結果としてどれかが先にダメになりそして全体が使えなくなりますます。
ヒゲ剃りなどの場合二本直列がほとんどで電流も少なく使用後すぐ補充電されることが多く無理のない使われ方をしてるといえます。
最近は忙しい人が多いためか充電も1〜2時間で仕上げる急速充電が主流です。これも電池にはよろしくないことと思います。
*電池にはその用途に見合う特性・大電流放電用、急速充電用、トリクル充電用などがあります。
使い方が悪くて寿命が短くなるとしたら電池に申し訳ないことです。とは云いながら使用法はますます過酷になっているようです。
それならば「寿命がくるまで使いたい」と云うのが私の本心です。
手持ちの中古電池を見ると組電池の場合いくつかがダメになっているモノでも中身一個づつを調べると元気な電池もあります。これをとことん使いましょう。
そのために最後の力を振り絞って貰うための充電器を考えてみます。
今回はバラツキに配慮して一個ずつ充電することを考え、老骨にむち打つ急速充電は考えません。
有る電池に関する専門書に「ニッケル水素電池では3〜5時間かかる充電器は存在し得ない」と云う記述が有りました。実際にそのような充電器はほとんど見かけません。気になる記述です。この理由は何でしょう。

作るのが簡単で寿命が近い電池に安全な充電器とはどんな充電器なのでしょうか?ニカド電池、ニッケル水素電池、そしてリチウムイオン電池の再利用充電器、やはりたっぷり時間掛けて充電する定電流充電器でしょう。
リチウムイオン電池の場合はとくに配慮しなければならない問題もあります。

【 その1 ニカド電池充電器をニッケル水素電池用に改造 】

この充電器は単3型ニカド電池用で4本(2本一組2回路)充電電流は45mAです。製造時期は不明ですがニカド電池の容量が450mAだった時代の製品です。
小さなトランスと整流回路、電流制限抵抗で構成されていましたがケース以外使えるモノはありません。

原型は2本一組で充電するようになっていますがこれを今風に改造します。
現在は2000mAのニッケル水素電池が主流です。
4本直列でに充電できる急速充電はバラツキの多い中古電池には向きません。3〜5時間かかる中速?充電器は満充電を検知するのが難しいので見送りです。
ニカド電池、ニッケル水素電池の満充電検知には普通ΔV(デルタV電圧)と云うモノを検知して制御します。
ΔVは充電末期に上昇するガス圧の影響で上昇していた端子電圧が下がる現象です。これを検知して充電を終了します。
充電電流が少ないとこの現象は顕著ではなく中速充電では検知が難しくなります。これが3〜5時間率充電を避ける理由です。
10時間率のゆっくり充電は実際には15時間必要です。しかしその時間は余りシビアに考える必要はなくおよそ15時間です。
しかしながら過充電はニカド電池に比べ苦手です。電池のためにはタイマなどと組み合わせて満充電制御をするのが良い方法です。

10時間率充電の良い所・時間が掛かりますけど、この様なゆっくり充電はメモリ現象と呼ばれる困ったことは起きないように思います。
*ニッケル水素電池はメモリ現象は起きないという人もいますが急速充電を繰り返すとメモリ現象が発生するように思います。

ここでは4本個別の10時間率定電流充電を採用します。タイマーは採用しません。(手抜きです)
2000mAのニッケル水素電池をターゲットにすれば200mA程度の充電電流が必要です。
トランスを外したスペースに充電回路を組み込まなければなりません。
時代の進歩は素晴らしいです。トランスのスペースに5V1Aのスイッチング電源を組み込むことが出来ました。
充電器と云っても定電流回路を4回路分付けただけの簡単なモノです。
2kの抵抗は2〜3kの間で調整します。(2.7kにしました)

電流制限にはトランジスタを使っていますがこれはあまりシビアに考える必要はなく
容量÷電流=時間(充電時間は1.5倍) を理解していれば容量の違いにも対応できます。
ただし過充電は寿命に影響します。ご注意下さい。
充電時間が長くなることを考え簡単な放熱器も付けました。
抵抗で電流制限するときは20Ω/2WでOKです。(5Wのセメント抵抗なら安心です)


ACアダプタ型スイッチング電源(5V1A)を、
電池ソケットの裏側に
電流制限回路を組み込んでいます。
四つの充電回路は独立していますから
電池は1本だけでも充電できます。

【 その2 リチウム電池充電器、機能拡張アダプタ 】

以下の実験には危険が伴います。万一の場合一切の責任を負いません。
このことをよく認識して実験して下さい。

リチウムイオン電池の充電はニカド電池、ニッケル水素電池シビアに考えなければなりません。
皆さんもご存じの通り何回も火災事故を起こしています。これは電極材料のリチュウム、電解液の有機溶剤など燃えやすい素材が使われているためです。これは大手のメーカでも防ぎ得なかった事故です。
リチウムはナトリウムと同じように水と激しく反応します。そのため水を含む電解液は使えないのです。発火したら水を掛けても消火できません。
以下の実験は少なからず火災の危険があるとお考え下さい。

リチウムイオン電池取り扱いの注意事項として次のようなことが言われています。
保護回路は二重にし保護回路の故障に備えること。
過充電保護:過大電圧充電の禁止。電池電圧を4.2V以上にしない。
過放電保護:過放電による劣化防止。3V以下にしない。
過電流保護:短絡などの大電流を遮断する。
過温度保護:温度フューズ、温度SWなどを併用する。
その他、充電の基本的な定電流充電、定電圧充電、10時間率、過充電、過放電などの基本的用語について十分理解してない場合はリチウムイオン電池の充電実験はおやめになるか専門書で学習するのが賢明です。

その他リチュウムイオン電池の一般的な特性として軽くて大容量、電池電圧が高い(3.6~3.7V)自己放電が少なく大電流放電も可能。また充電については大電流充電も可能ですが過充電、過放電には弱い特性を持ちます。
これらのことを念頭に充電器を考えてみました。前述の通り電池は原則として中古電池です。これは素性が判らず新品より危険度が高いことを認識して下さい。
膨れている電池・円筒形の場合わかりにくいのですが平型の場合劣化が進むと膨れてきます。端子電圧が3Vより低く充電しても電圧が上がらない。
この様な電池は使用不可と考え使用しないこと。充電事故の危険度が高く、無理して使っても容量低下が大きく使用に耐えません。

リチウムイオン電池充電器を考える!

以上の特性を考え充電のプロセスを考えてみます。

1) 端子電圧の確認:3V以下であれば軽い充電を短時間行い3V以上に上昇することを確認します。端子電圧=0Vあるいは上昇しない場合は中止します。
2) 本格充電:定電流・定電圧充電方式で充電します。電流は1〜2時間率が普通ですがターゲットが中古電池と云うこともあり3時間率程度を設定します。電圧は4.2Vで1%以内の精度で設定します。この電圧は重要でメーカにより異なる場合があります。正確に設定する必要があります。
充電開始後急速に電圧が上昇し定電圧領域に達した後充電電流が50時間率程度に減少したら停止します。
ここで設定電圧が高すぎると過充電となり寿命低下、火災発生の危険があります。
3) 充電保護回路は2系統以上を組み込みます。サーミスタによる温度測定、過電流SWによる遮断回路、サーモSWによる遮断回路などを組み込みます。手持ちの使用済み電池を分解した所サーモSWは45℃に設定されていました。
充電完了後は連続充電とならないように遮断する必要があります。また、短時間、間隔の補充電は見かけ上連続充電と同じになり電池を痛めます。
違う方法もあるかと思いますがおおむねこの様に充電されます。

これらのことを考慮して試験的に充電して温度上昇などを検証し実際に放電させ電池容量を測定した所具合良く充電できることを確認しました。
しかしこれらを考慮して充電器を作るのは結構厄介です。充電器専用ICも入手可能ですからそれを入手するのも良いでしょう。
今回はICなどを入手して充電器を作る予定だったのですが考えてみればデジカメ用充電器が余っています。
この充電器の場合3.7V900mAの電池を充電する能力を持っています。

これを放置するのはもったいない。活用しよう、と云う考えに変わりました。

充電したい電池はいろいろ

手元にある電池を調べてみるといろいろなサイズのモノがあります。

組電池をばらしたモノは18650と呼ばれるモノがほとんどです。この型番は電池のサイズを表しているモノで容量は3.7V、1000mA〜2000mAが標準的です。
充電のプロセスを考えると小さい充電器でも大きな電池の充電は時間が掛かるだけで可能なハズです。また極端に容量の小さい電池を充電する場合は初期電流が大きすぎたりして危険な場合も有ると思います。大きな電池なら少々時間が掛かるだけ!この考えに間違いなければ面倒な電気回路を組む必要はありません。この充電器の場合18650の電池で2時間ほどで充電できることになります。
結果は予想通りうまくいきました。

実験、検証中の充電器は3端子:電池は2端子です。

デジカメ用の1素子用充電器は普通3端子です。電池はそれに合わせ3端子ですが組電池をばらしたモノは2端子です。これはどうしましょう。
3端子の電池には(+)(-)(T)の端子があります。
(T)端子は常温で10kΩのサーミスタを通し(-)端子に繋がっています。
これをうまく処理すれば2端子の電池も充電できます。

このようなアダプタを作ればデジカメ充電器に接続できます。

充電器に合わせた変換アダプタを作ろう!
これが結論です。

小さな木片を加工して作ったアダプタです。アダプタには電池と同じ形の切り込みがあります。ダメになった電池から外した電極、サーミスタなどをそのまま使っています。

アダプタには(T)端子のためのサーミスタとサーモSWを組み込みました。溝の中、右側の光っている部分。
尚これらの部品は電池をバラシタときのモノを再利用しています。
実際に制作したのは木製のブロックだけです。木ブロックの形状の問題で電池の熱がサーミスタに伝わりにくい構造になっています。これは制作ミスと云わざるを得ません。サーモSWは問題なく電池に密着しています。

充電中の様子。完了するとLEDがグリーン変わります。充電器本体は未改造です。電池が暖まることもなく快調に充電できます。
さてこの電池の使い道は?

前置きが長すぎてビックリされたと思いますがリチウムイオン電池の再利用には十分すぎる検証が必要だと思っています。
うまく充電できないとか、電子回路が壊れたとかの失敗なら時間とお金のロスで済みますがリチウム電池の事故はもっともっと大事故になる危険を含んでいますから充分気を入れてやっています。
ある人の製作例では金属のケースに入れて実験していました。そのくらいの気持ちが必要な実験です。

【 参考資料 】
電池応用ハンドブック(CQ出版社)
web掲載の制作記事等

 

NP-200の充電アダプタ

先日、秋葉原で中古のデジカメを衝動買いしてしまいました。実はそんなに大げさに言うことではないのです。新品同様無傷で\980です。さすがにメモリカードはありませんが電池も付いていました。
早速動作試験・問題なし。
さて、バッテリの充電器を作らなければなりません。充電器は中古net市場で
\2000以上本体より高いのです。
やはり充電アダプタを造るのがよさそう。

試用した充電器と純正電池(下側の黒電池)と新たに充電したい電池(NP-200、上側)大きさはほとんど変わらず。
しかしサーミスタ端子の無い2端子型です。前回紹介した3端子ダマシ回路を組み込んだアダプタを作ります。(オレンジ色のページ)
抵抗は10kΩ固定です。
薄手の両面基板を使って充電器とNP-200の間に挟みます。


充電器側


NP-200・電池側


ブルーのカメラ本体と充電器の様子

ちゃんと動作するのですがアダプタの収まりがが不安定で接触不良を起こすときがあります。

材料がなかったのでトタン板で簡単な固定枠を作りました。基盤の固定が怪しいですが隙間に余裕が無くハンダで持たせています。

電池をはめるとこんな感じ!
長手には基板を挟むのがやっと。横幅は3mmくらい隙間があります。
大きさに余裕がないと作るのが難しいです。

充電器にはこんな感じに収まり接触不良も無くなりました。
制作費は端切れ利用でOエンでした。

サーミスタ・ダマシ回路は安全性の問題があります。発熱やその他の異常があったとき充電器を遮断するための回路をだましています。
正常な電池は容量が違っても問題有りません。

熱くなるような電池には使用しないようにしてください。
万一の事故に一切の責任を持ちません。

あまりにも粗雑なつくり!少々恥ずかしいので真鍮で作り直しました。基板とフレームの固定もキッチリ作りました。
長手方向の余裕が無いので苦しい作りであることには間違いありません。

チョット悪乗りしてこのアダプタの純正NP-200代用電池を作って見ました。長さ以外1mmほどしか余裕がありません。プラスティックのフイルムをホットボンドで貼り付け外形を合わせました。端子は蛇の目基板で作りました。
電池が旧型のため。容量は390mA

 

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