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日記 すき きらい

概要 1971 1978 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1988 1991
1992 1995

史上最低の作戦1史上最低の作戦2史上最低の作戦3史上最低の作戦4歌声は風にのって

1984年?夏 史上最低の作戦2:ゲリラ戦

熾烈を極めた戦いは、今や終わり、オレの下腹部はもはや誰にも侵されることのない純潔さを取り戻した。そう思っていた。
 しかし、一度始められた戦いが、当事者の思惑を越えて広がっていくのは、歴史上何度も確認された事実である。
 この戦いは、ある意味でベトナム戦争に似ているかもしれない。
 緒戦における勝利にわきたった側が、戦争の終結を確信していた、まさにそのとき、戦争は始ろうとしていた。

ここで、緒戦におけるオレの作戦行動をおさらいしておこう。
 ペニス基幹部とその上部に広がる密林地帯に敵影を見つけたオレは、そこにいる敵を一掃した。オレの奇襲は完全に成功した。それは戦争というより、もはや虐殺だった。陰毛の根元に埋伏した敵を、オレは容赦なく叩き出し、そしてそのすべてを火葬にした。
 今や見える限りの密林に敵の姿はなく、オレはこの戦争はすでに終結したものと思い込んだのだった。

しか〜〜〜し。しかしである。
 勝利を喜ぶオレが数日間の安らかな平和を楽しんでいるそのとき、すでに敵は動き出していたのだ。

数日後、オレはとある恐ろしい事実に気がついた。
 戦争がすでに終結したにもかかわらず、あの「かゆみ」はいっこうになくなる気配がなかったのだ。

オレの心のなかに、少しずつ得体の知れない不安が忍び込み始めた。
 もしかしたら…。

その夜、オレはふたたび股間を調べてみた。

がちょ〜〜〜〜〜〜ん & げげげげげげ〜〜〜〜〜〜っ。

すべての敵を一掃したはずの密林地帯に、いるではないか。
 そこにも。あそこにも。
 以前ほど密集しているわけではなかったが、敵の姿はここかしこに認められた。

ふたたび、夜の儀式が始まった。
 オレは何かにとりかれたよ〜に、自分の股間に顔をうずめるよ〜にして、次から次へと敵を見つけて葬っていった。
 そのあまりにも恥ずかしい姿は、決して誰にも見られたくはないよ〜な、鬼気迫るものだったといふ。

やがて、どれほどの時がたったのだろう。見える限りの密林からは、敵の姿が一掃された。
 オレは安堵のため息とともに、終争の終結を宣言した。
 そして、またもや平和な眠りのなかへと落ちていった。

しか〜〜〜し。しかしである。
 これは、この戦争の新たな局面の開始にしかすぎなかった。

次の夜、股間を確認したオレは、ふたたび驚愕に襲われた。
 きのう一掃したはずの密林地帯には、新たな敵の姿があったからだ。
 これ以降、オレの夜の儀式は繰り返される習慣になっていった。
 毎夜毎夜、荒い息をつきながら、オレは自らの股間に顔をうずめ、2本の指をたくみに動かすことになった。

この当時、オレがとっていた戦術を紹介しよう。

オレはじっくりと密林をながめ、敵の姿を見つけるやいなや、2本の指をそこに向かわせ、戦闘を開始した。
 しかし、敵もさるものだった。自らの半身を毛根のなかに埋め、しっかりとたてこもった敵は簡単に引き抜けるような相手ではなかった。持てる限りの力を使って、毛根の肉にしがみつき、徹底的に抗戦する構えだった。
 時には、毛自体を抜いてしまわなければならないことさえあった。そんな時、オレは激痛に震えた。

瞳の端からは涙がにじみ、口からはつらいため息が漏れた。この戦争で打撃を受けていたのは、なにも敵ばかりではなかった。
 激痛に襲われるたびに、オレの気力は萎えていき、すべての敵を一掃しないうちに、その夜の儀式を終えてしまうことさえあったといふ。

そんなふうに、果てしない戦いは続いた。
 開戦からすでに1週間が経過していた。しかし、いつまでたっても戦争の終末は見えなかった。
 オレはいらだち始めていた。そして同時に疑問を感じていた。何かが間違っていた。オレの戦術には決定的な問題があったに違いない。

そんな時である。オレはふと気づいた。
 そ〜いえば…。
 そうである。密林はなにも、上部にだけ広がっているわけではない。
 そびえたった細長い山のふもとから下部のほうにも、広がっていたではないか…。

そう思ったオレは、さっそく下部に狭く伸びている密林も調べてみることにした。
 ビンゴ〜〜〜〜〜〜っ。
 そして、同時に、げろげろげろ〜〜〜ん。

高くそびえた山から、肉にうがたれた深い穴までの狭い地帯に、オレは敵の一大補給基地を発見したのだ。
 それまで何度敵を一掃しようとも、戦争が終結しない理由がこれでわかった。と思った。
 そりゃそ〜である。上部の密林から敵が一掃されようと、次の日には基地から新たな人員が補充されていたのだから。

そして、新たな殺戮が開始された。敵の基地は発見されることを予想していなかったのか、完全に無防備だった。その無防備な集結地に向かってオレの指が伸ばされることになった。

そんなわけで、これ以降のオレの夜の儀式は、さらに恥ずかしく、さらに淫らなものへとパワーアップした。オレは鏡を片手に持ち、今度は自分の柔らかい谷間へ顔をうずめ、肉穴の周囲をいじりまくった。

そのあまりにも恥ずかしい姿のためか、オレの気力はいっそう消耗した。しかし、着実に敵の姿は減っていった。今では、敵の姿は散発的にしか見つからなかった。間もなく、この戦争も終わる。オレはそんな想いに安堵した。

しか〜〜〜し。世の中はそんなに甘くはなかった。

敵の姿そのものは、確実に減っていたにもかかわらず、それを一掃することはできなかった。
 そうして、戦争は膠着状態へとおちいっていった。
 毎夜、毎夜、小規模な戦闘が行なわれていたものの、戦争が終結することはなかった。
 一掃したはずの敵は、少数ではあったものの、次の夜には必ずその姿を現したからだ。
 いったい何が間違っていたのだろう。

統合参謀本部、すなわちオレの脳みそは、何かが決定的に間違っていると伝えていた。
 それが何なのか。オレにはまったくわからなかった。
 そこで、オレは敵についての知識を深めることにした。敵をただ殺すだけではなく、その活動を監視し、敵がいったいどのような行動をとっているのか、その作戦を分析することにしたのだ。

それまで夜だけだった儀式を、オレは朝や昼に拡張した。ただし、殺戮は最小限にとどめた。今はただ敵を掃討するのではなく、もっと慎重に敵を観察する必要がある。そう考えたオレは、敵を野ばなしにして、増えるにまかせた。

そうした、観察の結果、オレはいくつかの事実を見い出した。
 オレが敵を一掃できなかったのも、無理はない。オレは敵について、決定的な勘違いをしていたからだ。真の敵は別の所にいた。
 それは………。

教訓 どのような争いにしろ、いったん始められた戦いは、もはや当事者のコントロールできるものではありません。なにかが終わったと思ったとき、いつでも、新しい何かがそこで始まっています。


続く

管理人:神吉 秀典 E-mail:puer@ba.wakwak.com