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| もっとナチュラルに | ![]() | それを勇気と呼ぼう | ![]() | 百円玉が拾えない |
今回の話は、汚ないのが苦手な人にはちょっと嫌かも。だから読まなほうがいいかもしれません。
この頃、音楽の先生が学校をやめることになった。その話がはっきりした頃、同級生の反応は、音楽なんて受験に関係ないんだし、そんな先生がやめようがどうしようが関係ない、ってのがほとんどだった。それを聞いてるうちに、自分の都合だけで人を扱うような考え方がすごく嫌になってきて、ちょっといたずらをしてやれ〜、そんな気分になった。
ホームルームの時に、その先生の送別会をしようという議題を提出した。クラス全体の反応は、とても好意的とはいえなかった。なんでそんな面倒くさいことをするの〜、そんな反応がほとんどだった。とわいえ、表だって非難できるたぐいの話ではないし、とりたてて反対意見を出す人はいなかった。オレも初めからそう予想していたさ〜。ふふふ。そして、オレの予想通りその議題はクラスで可決された。ふっふっふっ。天は我に味方せり〜。
いちおう、会費としてなにがしかのお金を全員から徴収することになった。実行委員に選ばれた親しい友達2人と、いろいろ相談した結果、マクドナルドのハンバーガーにしようということになった。大量に注文するとかなり安くしてくれるらしい。つてのある友達がそんな情報をくれたからだ。けど、結局、飲み物代は出なかった。仕方なく3人は自腹を切って、クラス全員の飲み物をそろえた。
当日になって、送別会が始まった。オレは別の仕入れがあったから、始まる時間には外に出ていた。実は酒を買い出しに行っていたのだ。先生だって、酒がない宴会なんてイヤに決まってる。勝手にそう考えて、自腹を切って酒を買いに行った。とりあえずビール1ケースを買ってきた。
帰ってきて、びっくりした。人がほとんどいなかったからだ。1クラス60人以上いるのに、参加してるメンバーは10人ちょっとだった。くそ〜。無理やり参加させようとして、金を集めたのにな〜。そんなにうまくはいかなかったか。
それでも、送別会はなかなか良い雰囲気だった。
逆に義理で参加した人がいなかったからかもしれない。
そのおかげで、オレも当初のいたずら心を忘れて、純粋に送別会を楽しめた。
やがて会が盛り上がってきた頃に、オレは先生に近づいて、そっとささやいた。
「いいもんありますぜ〜。だんな〜。」
そう言って、そっとビールの入った紙コッブを差し出した。
先生は、
「こんなもん教室のなかで出すか〜。」
と言いながら、
「ひとりじゃ乾杯できひんから、お前の分もついでこい。」
そう言った。
そして、クラスの友達が気づいてないのをいいことに、ふたりでこっそり乾杯をした。
その匂いにつられたのか、先生としては他にただ一人参加していた数学の先生が近寄ってきた。そして、オレの飲んでいるものを見ると、
「それは何や。」
とたずねてきた。オレは、
「気分がとても良くなるジュースです。」
と答えた。すると先生はニヤニヤしながら、
「じゃあ。オレもそれをもらおうかな〜。」
そう言い出した。
この頃になると、他の友達も酒の存在に気づき始めた。
そして、放課後の教室は、一気にビアホールへと変貌したのだった。
とわいえ、しょせん中学生である。飲める量も知れていた。そのせいで、1ケースあったビールは結局残ってしまった。
誰かがもったいない。そんなことを言い始めて、いつとなく、ビールのかけ合いが始まってしまった。いつも授業を受けている教室が、ビールまみれになるのはなんとなく楽しかった。
その送別会が終わった後、音楽の先生は涙を流してよろこんでいた。まさかこんなふうに送ってもらえるとは思わなかった。そんな事を言って何度も何度も感謝の言葉も述べていた。
もともと、いたずら心で始めた送別会だったから、その言葉はちょっと痛いものがあった。
長い長い前振りだった。あまりの長さに、読むのをやめた人もいるかもしれない。しかし、本当の話は、これから始まる…。
送別会が終わると、残った友達とオレは途方に暮れた。ハンバーガーが山盛り残ったからである。それを見ていると、くやしくってくやしくって腹が立ってきた。
「全部食っちゃる〜。」
オレはそう宣言すると、片っぱしからハンバーガーを食いはじめた。やけ食いとゆ〜やつである。
「なんで来〜へんかってん。くそ〜。」
ぶつぶつとつぶやきながら、1個1個ハンバーガーを胃のなかへぶち込んでいった。
ふと気がつくと、まわりの友達の何人かも似たようなことをしていた。しかし、みんな怒りが少なかったためか、数個でギブアップしていたようである。オレは送別会の発案者だったから、怒りの量も大きかった。そのせいで、ハンバーガーはおもしろいように、腹のなかへと消えていった。それをぶち込むために、コーラーのペットボトルをがふ飲みした。
やがてオレはギブアップした。
もうこれ以上は絶対無理。そこまでがんばった。
けれど、無念なことにハンバーガーはまだ沢山あった。ううう。
結局、オレはハンバーガーを20個以上と、1.5リットルペットボトルを数個空にしていた。
残ったハンバーガーは、各自が家に持って帰ることになった。
そして、もう帰ろう。そういうことになった。
5人ほどのグループで、とぼとぼと学校を出た。
みんな、ハンバーガーが残ったせいか、ちょっとがっかりしていた。みんな無言のまま、ただ歩いていた。
そんな時、オレは百円玉を落としてしまった。それは、ころころ転がって、目の前で止まった。オレは何気なく、その百円玉を拾おうとした。
身体をかがめて、手を伸ばした、その瞬間。
ぐぼぼぼ〜っ。
変な音から身体のなかから、聞こえてきた。そして、閉じていた口の中に、ハンバーガーとジュースが混りあった液体があふれ出してきた。
うげ〜〜〜っ。
オレはびっくりした。しかし、唇をしっかりと閉じて、一滴たりとも外には出さなかった。
そして、身体をもとに戻すと、もう一度それを飲み込んだ。
ふ〜〜〜〜っ。
オレはもう一度試してみた。
ゆっくりと、身体を傾けていった。
すると、90度より下に身体を向けると、液体が逆流してくるようである。どうも、胃よりも上の部分にまで内容物があふれているみたいだ。そして、重力の法則によって、流れ出してしまうようなのだ。
この時まで、オレは一度身体に入ったものは、絶対外には出ない、そう思っていた。それが間違いであることを思い知らされた。あまりにも多量のものを食べると、外に流れ出すこともある。そんなことを学んだ。う〜む。オレもまたひとつ賢くなったさ〜。
しかし、どーしようもなかった。
何が起こったのかわからないままに、不思議そうな顔をして見つめる友達に向かって、オレはあふれ出たものでいっぱいの口を閉じながら、ただ人差し指を百円玉に向けた。その指先は心なしかプルプル震えていたよ〜な気もする。
「取ってほしいのか。取れないのか〜。」
友達は、オレの方をじと目で見ながら、子供に聞くようにたずねてきた。
オレは黙ったまま首を縦に振った。
「こいつ大丈夫かな〜。」
そんなことをつぶやきながら、友達は百円玉を拾って、オレに手渡してくれたさ〜。
その時、オレはやっと、口のなかのものを飲む込めばいいことに気づいた。
ぷは〜〜〜っ。
「いや〜まいったわ〜。食いすぎたおかげで、下を向くとあふれてくるみたいや〜。」
そう言って、友達に事情を説明した。
いきなり爆笑が起こった。さっきまでの暗い空気はどこかに行ってしまった。
友達は、まだ疑問に思ったらしく、何人かで無理やりオレの上半身を押さえつけた。そして、口を押さえてうめく、あわれな姿を見て、納得した。
教訓 ハンバーガーを食いすぎないように。百円玉が拾えなくなります。