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日記 すき きらい

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大放出

1971年某月某日 大放出

いまから書く話は、ちょっと汚くてこわい話だ。
 だから、そういう類の話が嫌いな人は、ここから先を読まないでください。
 ってわけで、ここから先は、汚ない話に免疫のある人オンリーっことで、バリバリいく。

この頃のオレは、人にいえないある性癖をもっていた。
 それは便秘である。

ウチのトイレは洋式だったが、あのトイレに座って、ぼーっとしてる時間がヒマでヒマで仕方なかった。子供の頃からマイペースだったオレは、そんな退屈なことしてられるか〜、とばかり怒られない限りトイレには行かなかった。
 当然のことながら、久しぶりに出すときは、大変だった。しかし、その大変さよりも、毎回の面倒くささの方がオレには嫌だった。

誤解をする人がいるからいけないから書いておくが、今から書く事件の後で、オレの便秘は治った。それほど衝撃的な経験だったのだ。
 いまは、人がうらやむほどの快便である。しかも拭く必要もないことが多い。ちゅるん、と出ていってしまう。だから紙をあててもほとんど汚れない。
 お尻の内部や穴が汗ばむことによって、それが大便を滑らせているようだ。オレはたぶん人間以上の存在へと進化したのかもしれない…。

それはともかく、この頃、オレは異常な便秘に不安になっていた。
 それまでは、便秘といっても数日ぐらいのオーダーだった。そのぐらいで、どうしてもしたくなり、仕方なくトイレに向かうことばかりだった。
 しかし、この時は、前回トイレに行ってから、すでに半月以上がたっていた。1か月近い気もするが、それは子供心の幻影かもしれない。とにかく、かなりの長期間であったことは間違いないことだった。

しかも、不思議なことに最初の数日はともかくとして、それ以後、なぜかトイレに行きたいという気分にはならなかった。1週間をすぎる頃には、オレは毎日のようにトイレに座り、なんとか出そうとした。しかし、いままでのオレの悪行に怒ったのか。お尻からは何も出てこなかった。

その日、オレが便座に腰をかけたときも、もうあきらめていた。どうせいつもと同じように何も出てこない。そう思った。
 そして、とても不安になった。いったい、食べたものはどこに行ってるんだろうか。

オレは、自慢じゃないがよく食べる。その頃も、同じ年頃の子供と比べるとかなりの量を食べるほうだった。それだけの量を食べて、何も出てこないのがこわかった。オレは破裂するんじゃないだろうか。そんな風にも思った。実際、そんな夢を見たことすらあった。

しかし、そんな恐怖におびえながらも、食べるものは食べていた。
 いや、食べる時になると、都合よくそのことは忘れてた、と言ったほうが正しいだろう。
 どこまでいっても、オレはマイペースだった。

その日はめずらしく、何か変な感触があった。
 尻の奥の方で、何かいつもと違う動きがあったような気がしたのだ。
 これは、いけるかもしれない。
 そんな期待が高まった。オレは胸をおどらせながら、さらに力をこめた。
 しかし、ダメだった。ふ〜〜〜っ。
 もうオレは、下腹が破裂してしまうのかもしれない。
 そんな不安に満たされた。その時、何かがお尻の穴を通りすぎていった。

ポチャン。カラン、カラン、カラン。

????????????????。
 オレの頭の上には、?マークがいっぱい表示された。ちなみに、吹き出しはない。

音が変だった。固いものどおしがぶつかりあう、金属質の高い音が響き渡った。

びっくりして、オレは便器のなかをのぞきこんだ。

すると、便器の水の底になにやら、丸いものが落ちていた。
 色はよく覚えていない。しかし、明らかに何か違和感があった。

そこでオレは手を伸ばすと、それに触わってみた。

固かった。かちかちだった。
 大きさはちょうど、ピンポン球とパチンコ玉の中間ぐらいの大きさだった。
 オレはそれをつまみ上げると、しげしげながめた。
 これがいわゆるウンチだとは、オレには信じられなかった。
 オレの身体はいったいどうなってしまったんだろう。

しかし、便秘は便秘である。
 オレは恐怖に震えながらも、もう一度力を入れた。
 今度は、何かもっと多量のものが、奥の方から外に出ようとしていた。そして…。

カラン。カラン。キ〜ン。カラン。カラ〜ン。

はっきりいって、耳を押さえたかった。
 いや、それよりも、これを誰か家族に聞かれるのがこわかった。
 それほど激しい音が鳴り響いた。
 小さな球がオレの尻の穴から発射され、次々に便器の壁に当ってかん高い音をたてた。
 地獄だった。恐怖だった。
 まるでオレの身体は、機械のようにただ球を発射していた。

しばらくたって、その音もやんだ。

オレが両手で顔をおおいながら、すき間からそっとのぞくと、水の底に多量の玉が並んでいた。

最後に、もう一度断言しておく。
 こんな経験は人生でも一度きりである。
 決してオレは地球外生物ではないので、ご安心を。

教訓 1月近く便秘しない。とてもうるさいです。


管理人:神吉 秀典 E-mail:puer@ba.wakwak.com