「風の大地の子守り唄」の物語 (2)前半 |
ウシオ 投稿日:2003年5月24日<土>18時59分 |
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スポニチ・昭和55年2月3日
「映画とレコードで違う歌手
『象物語』主題歌 ちあきなおみに代わって黛ジュンが吹き込み」
2月2日、黛ジュンがCBSソニーで2年半振りのレコーディング。
映画『象物語』テーマソング2曲だが、元々はちあきなおみのカムバック作として作られたもの。
映画ではちあき、シングル盤では黛の歌がそれぞれ使われるという珍現象だ。
ちあきから黛への交代劇はの舞台裏は?
ちあきサイドの問題、日本コロムビアからの圧力など、諸説乱れ飛ぶが・・・
ちあきカムバック作戦は79年秋から進行。
映画の公開に合わせ、CBSソニーがキャンペーンを展開、自動車CMのタイアップも決まり、日本テレビもバックアップを約束していた。
前年に大当たりしたジュディ・オング「魅せられて」(←注)の構図を踏襲したのだが・・・。
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(注)
当時CBSソニーに在籍していた酒井政利プロデューサーが手がけ、CMタイアップと共に大ヒットさせたのが
第1弾「シルクロードのテーマ〜異邦人/久保田早紀」
第2弾「エーゲ海のテーマ〜魅せられて/ジュディ・オング」
でした。象物語のテーマソングはその第3弾、
「アフリカのテーマ〜風の大地の子守り唄」として企画されました。
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レコードプレス直前に問題が噴出。
ちあきサイドが本格カムバックに消極的で、家庭内も含めたゴタゴタがプロモーション計画に支障をきたす、など・・・。
ちあきサイドの消極性も相まって、CBSソニーはちあきカムバック作戦を断念。急遽、黛の起用が決定した。
2月4日にはマスコミ向けの映画試写会が開かれるが、そこではちあきの歌が流れる。
協賛会社の自動車CMではちあきの歌を差し替え、黛の歌が出来上がるまで歌なしで放送することになった。
CBSソニー販促部・○○部長のコメント・・・
「出来上がったちあきの歌は言葉が不明瞭で鮮明度を欠く。そのため新人を探したが適任がいない。
ちあきサイドは元々シングル発売に難色を示していたため、急遽黛を起用する事に決まった」
酒井政利・チーフプロデューサーのコメント・・・
ちあきの歌唱は映画主題歌としては面白いが、シングル盤として発売するには重く、プロモート的にふさわしくないと判断。
全く別のイメージソングとして考え、黛起用に至った。
さらに、映画主題歌は「母性」がテーマだが、レコードでは「男と女の世界」に置き換える展開が必要で、そのため2種類の歌唱が必要になった。
黛のパワーは衰えていないし、復帰曲にはふさわしい。
ちあきにというよりも、黛用に作った曲のようだ。
黛ジュンのコメント・・・
急に決まった話でしょ。この2、3日はアラシのようでした。
こんな大きな企画は一生に何度もあるものではないでしょ。ぜひチャンスを活かしたい。
(今回の歌は)難しいけど、歌いがいがあります。
サビ前のメロディーなんか、考えられないほど斬新で、歌っていくうちに好きになりました。
ちあき所属事務所・○○マネージャーのコメント・・・
「サウンドトラックということで録音したが、シングル発売の話は最初から聞いていない。
ちあきはあくまで主婦。以前のような形で復帰は考えていない」
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Res:ウシオ 題名:「風の大地の子守り唄」の物語 (2)後半 投稿日 : 2003年5月24日<土>19時02分
とまあ、こんな感じの記事でした。
うーん、一体どれが本当なの?コメントを寄せている人、それぞれ言っていることがバラバラ。
結局、この記事だけでは交代劇の理由は曖昧です。やはり、ちあきサイドがシングル化を拒んだようではあるのですが・・・。
なお、上記記事に関連して、同年2月はスポニチ・日刊スポーツでちあき・黛の話題が出ることが多かったようです。
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スポニチ・2月25日(『象物語』テーマソングシングル盤・サントラ盤発売日)
「アフリカの女王よ」
イメチェン黛・今日、夜ヒットで新曲を披露。
衣装はノーブラ、腕を上げると太ももが露出する仕組みに。
日刊スポーツ・2月27日
「黛のレコード盤からちあきの声が」
紆余曲折を経て急遽シングル盤のプレスを開始した『象物語』のテーマソングだが、テープからプレス原盤を制作するスタンパーの過程で黛の型にちあきの型が紛れ込み、初回プレス7万枚のうち5千枚が「A面・黛/B面・ちあき」という珍盤に。
黛本人からの訴えで発覚し、大急ぎで回収したがファンの手に渡ってしまった盤もあり、騒動に発展している。
スポニチ・2月28日
「ちあきなおみ 女優で復帰」
昔の「大賞歌手」ちあきなおみが歌手から一転、女優として2年ぶりに芸能界にカムバックする。
日本テレビ4月新番組『愛しい女』で、竹脇無我に一途に惹かれてゆく準主役級の重い大きな役。
ちあきは78年に結婚後、実質的に仕事をホサれる形になっており、『象物語』テーマソングを歌ったサントラ盤(LP)も発売されたが「声はすれども姿は見えず」の状態で、歌手としての復帰は依然として軌道に乗れないまま。今回はそうした思惑の外側からのカムバックとなった。
ちあき自身は「前からシリアスな役をやりたかった」とカムバック実現を喜んでいる。
本業より先に女優として先にカムバックする形だが、ちあきは将来的にはコンサート中心の歌手活動を続けていきたい意向だという。
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『象物語』ネタでそくぞここまで引っ張りましたよね(笑)。
それだけ、当時は話題になったということなんでしょうか。
結局、黛ジュンさんが歌ったシングル盤はオリコンで32位、5.4万枚の売り上げを記録。続くシングル盤「男はみんな華になれ」も同32位、8.5万枚のスマッシュヒットとなりました。
一方ちあきさんは、女優業と平行して地方での営業や小規模なライブ活動を続け、昭和56年にビクターからアルバムを発売しました。『それぞれのテーブル』です。
さて、『象物語』から5年後。そんな騒動もすっかり忘れ去られた昭和60年、酒井政利氏が1冊の本を発表しました。
『不可解な天使たち』というタイトルです。
(続く)
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