ルージュ

1977年7月25日発売
(LP)PX-7031
(CT)CAY-1037


(A)
ルージュ
雨が空を捨てる日は
流浪(さすらい)の詩(うた)
帰っておいで
あばよ
うかれ屋

(B)
氷の世界
小春おばさん
断絶
わかってください
サンデー・モーニング
別涙(わかれ)


この時期、ちあきさんの「演歌離れ」が加速しました。
先行シングル「ルージュ/帰っておいで」を手がけたのは、前年、研ナオコに大ヒット曲「LA-LA-LA」「あばよ」を提供して話題となっていた中島みゆき。
このアルバムはその「ルージュ」の流れを受け制作されたものです。

A面は中村一好氏のディレクションで制作。先行シングル2曲の他、中島みゆきが新たに書き下ろした「うかれ屋」、そしてカバー曲3曲の中島みゆき作品集です。

先行シングル「ルージュ」の発売にあたり、二人でのテレビ出演や複数の雑誌での対談企画なども実現しました。
それらによると、二人の組み合わせは双方のアプローチが偶然一致して実現したものなのだそうです。なんと一緒に食事もしたとのこと。

さて、当時の二人の対談記事を読み拾ってみると…

ちあきさんは、レコーディング前に周囲とニューミュージックの素晴らしい作品を自分も含めた歌謡歌手が歌うと何かつまらないものになるという話をしていて、「これは、変に凝った歌い方をしない方がいいんじゃないかと思ったんです。とても爽やかな感じに仕上がったと思います。(中略)私って、すぐに感情を入れて歌っちゃうんで、その点、十分に気をつけたいんです。今までの私は一度レコードを聞けば、あとはそのままってことが多かったのですが、今回は曲の爽やかなイメージを壊さぬよう、何度も何度もレコードを聞き返しています」とコメント。

一方の中島みゆきは、「私はちあきさんの声そのものが好きなんです。テクニックなんかに関しては、私よくわからないんですが、私のイメージしていた通りの自然な声で歌っていただけてとても嬉しかったです。(出来上がったルージュを)聞いた段階では、既に私の想像を越えていました。私って表現豊かに歌えって言われても歌えないので、その点ちあきさんならいくらサラッと歌っても、どうしても感情移入の部分が出てくるんじゃないかと密かに期待していたんです。そういうところにも、ちあきさんに対する憧れがあったんでしょうね。もう何も言うことはありません」と感想を話していました。


「ルージュ」を引っさげて、通常の歌番組はもちろん、ヤマハ制作のテレビ番組『コッキーポップ』にも出演。さらにちあきさんが司会を務めた歌&トーク番組『いらっしゃい』では二人のテレビ共演も実現。
また、アルバム発売後、ちあきさんは歌番組で「うかれ屋」を好んで取り上げていたそうです。

…しかし、研ナオコがヒットを飛ばしたような展開には至らず、結局二人の組み合わせはこの時限りとなりました。

なお、B面では当時ヒットを飛ばしていた因幡晃、そして井上陽水の作品を3曲ずつカバー。
アルバム制作中、B面の制作は新ディレクターの大木舜氏にバトンタッチしています。
因幡晃の「別涙」を録音した際には、泣きながら歌いレコーディングが中断したそうで、大木氏は後年「レコーディングの際は感情移入の激しい方でした」と当時を振り返っています。

このアルバムは2000年10月にCD化されました。