COMRADE CS500 日本製サルーン・ベースのチューニングカーというと,派手めのエアロパーツで全身着飾り,その上ウィンドー一面にブラックフィルムを貼ったアウトローっぽいノリのイメージが強いが,ここに紹介するカメラードCS500は,もちろんその手の無頼派とは一線を画している.ターゲットユーザーも仕事上の都合や対面上の問題で,輸入車の高級サルーンに乗れない層が中心.1180万円という価格(車両本体)を考えれば,やはりライバルはSクラス・メルセデスや7シリーズBMWということになるだろう.ちなみにモデル名のCS500はComplete Sedan5 5.0Lの意味.その名が示すように完成車販売が基本だが,車両を持ち込むことも可能で,その場合はA,B,Cいずれの仕様をベースにしても約600万円のエクストラコストが必要となる. その外観はやはり派手め.前後にスポイラーを装着し,サイドに回り込むと今度はブリスターフェンダーが文字通り幅を利かせているという寸法だ.特にリアはこの傾向が目立ち,ドアの外板を変えてまでフェンダーの峰を連続させているのが目を引く.仰々しいというほどではないにせよ,全体的にやや演出過剰気味なのは確かだろう.最近のAMGなどはここらへんの表現が実に巧みで,下品にならない範囲でスポーティーなスパイスをピリッと効かせ,実に大人っぽく仕上げる.日本のチューナーやエアロパーツメーカーも見習ってほしい部分だ. ノーズに収まるV8ユニットは,ボア・ストローク双方wpそれぞれスタンダードの87.5×82.5mmから92×92mmのスクエアとして4892ccの排気量を得たもの.コッグドベルト/シザースギアによるカムの駆動方式はむろん不変だが,燃焼室形状は3Sユニットを踏襲し,バルブカーテンエリアをフルに活用すべくマスク部を削除,あえて左右のスキッシュエリアをなくすことで充填効率の向上を狙っている.このほか高リフト(8.5mm),広開角(250°)のカムはもちろん専用設計だし,鍛造のクランクシャフトやピストンを採用するなど,なかなか意欲的だ.これらによって得た出力とトルクは330ps/5500rpm,45.0mkg/4700 rpmとオリジナルを実に65ps,8mkgも上回っている. とは言ってもこのエンジン,決して野蛮な代物ではない.いやむしろ紳士的というべきだろう.5Lもの排気量を持つから当然とはいえ,ボトムエンドから太いトルクを発揮してくれるおかげで,混んだ街中でも実に扱いやすいのだ.うっかりすると330psものパワーを誇ることを忘れてしまうほどで,標準型セルシオが持つ最大の美点,高い静粛性もなんら犠牲になっていない.東名高速に足を踏み入れても,基本的にその性格は見事に引き継がれる. |
もちろんスロットルを深く踏みつければアッという間にトルクが沸き上がり,途方もないスピードに導いてくれるが,その過程は平和の一言,スピードメーターを確認しないかぎり自分の速さに気がつかないタイプといえるだろう.ハイスピード域のスタビリティーの高さも,その印象を助長している. CG 1997.1 BRIEF TESTより無断転載 |
webmasterの独り言:いったいどういう人がこのCS500を買われるんでしょう? ベンツを買わずにCS500を買う人,私は好きです. |