21後期EMV→21前期移植計画 by Prof.O氏

Prof.O氏が21後期用7インチワイドEMVをご自分の21前期セルシオへの移植に挑戦されました.

配線図や解説書,修理書とにらめっこしていてもどうも納得がいかず…,単体で結線して動作確認をしてみました.

ナビゲーションも

オーディオに関しても問題なく完動しました.

ダイアグノーシス診断では…


ECUで“61”のGPSアンテナ未接続(繋いでないので当然のエラーです)と,エアコンで“D0”の未接続(こちらも繋がっていないので当然のエラー)が出ていますが,自己診断に間違えがない事が証明されています.


さて,では何が問題かと言いますと…
エアコン関連の信号が通信出来ないんです.

前期型の場合,マルチディスプレイとエアコンコンピューターの間でエアコン操作用の信号と状態表示をする為の信号を「CLK」,「STX」,「SWD」,「IND」,「SGND」の5本の配線を使って繋がっています.
また,自己診断用の「TX+」と「TX−」の2本もカセットデッキを経由して繋がっています.

前期型は通信に上記7本の配線を使用していましたが,後期型ではマルチディスプレイとエアコンコンピューターの間には通信が無く配線も無いんです.
では何処で繋がっているかと言うと,エアコンコンピューターはMPXボディーコンピューターに繋がり,EMVコンピューターもMPXボディーコンピューターに繋がり,いずれも何と…,「MPX1」と「MPX2」の2本(入出力)だけで通信しているんです.
7本もあった操作と表示の信号を1本で多重通信してしまったと言う訳です.

結局,解りやすく言うとナビとオーディオは使えてもエアコンが使えないって訳です.
ON−OFFすら出来ないので,我慢するのには超大リスクですよねえ….

この問題をクリヤーするにはMPXボディーコンピューターの交換が必要となります.
ボディーコンピューターが替わればサブコンピューターも替えなければいけません.
また,ボディーコンピューターが管理している物すべて交換が必要かも知れません.
当然,エンジンコントロールも換わりますのでエンジン&ミッションも….
これはもう「後期 完全移植」状態ですよねえ(@_@)
取りあえず,分からなかった部分の解読が出来たのでひとまず諦めました.

Webmasterの独り言:多分誰もやったことがない挑戦.もちろんディーラーの整備士の方もやったことないだろう挑戦.
今回は成功しませんでしたが,その過程でProf.O氏も楽しみながら作業していたであろうと想像されます.
セルシオのBEAN手強しですね.

BEAN(Body Electronics Area Network):多重通信システム…今までのクルマは電装品とスイッチ・センサー等は一本の線で繋がっていましたが,エレクトロニクス満載のセルシオなどは配線が多くなりすぎるためBEANを採用しています.
各電装品はそれぞれのECU(Electronic Controlled Unit)が管理しており,BEANは1本の通信線で時間を少しずつずらしながら,各ECUが多数の情報・データを相互に送受信しています.
上でProf.O氏が言われているように20系前期が7本の線を使っていたのが20系後期では1本になっているんですね.もはや線ではなくECUの情報を送受信する“通信線”なのですね.
尚,通信速度は10kbps(1秒間に10000ビットの情報を送る).ちなみに20系前期は5kbpsの通信速度.