ほとんどのクルマの純正スピーカーは,製造コストや工程の効率化のために樹脂製のマウント材に取り付けられている.
ただ漫然と音楽を流したりラジオを聞くぶんには何の問題もないが,よい音で音楽を楽しみたいというなら,まずチェックしたい箇所がバッフルボードだ.
ご存じのようにスピーカーは入力信号を与えるとボイスコイルが動く.その動きがコーンに伝わって空気を振動させ,音となってリスナーに届く.
その振動がどこかに吸収されたり,逆に不要な振動がスピーカーに加わったり,きちんとした振動,すなわちいい音にならない.
だからスピーカーはしっかりと装着してやらなければならないのだ.
ホームオーディオのマニア向けスピーカーがやたらと重かったり,超マニアの人がコンクリートの上に置いたりするのは,できるだけ「周囲の影響を受けない環境」を作り出すためにほかならない.
しかしクルマの中ではそうもいかない.そこでせめてしっかりしたボードの上に取り付け,スピーカーの振動基準点を明確にして,振動板の動きにできるだけ忠実な音を引き出そうというのである.
通常,バッフルボードは木質系のものが選ばれる.というのは,スピーカーの不要振動を止めることは不可能に近く,どうやってもボードも一緒に動き,その音がスピーカーの音に乗ってしまう.
そこで同じように音が乗るのなら耳に心地よく響きのよい材質がいい,ということで木材が使われるのである.
以上,CG2000.7より無断転載