トレックキャスティング

トレックキャスティングとは私が作った造語で、はっきりとした定義は無いのですが、車を使わず、電車やバスで釣り場近くまで行き、釣り場まで少し歩き、野宿をするような投げ釣りのことをイメージしてます。私はキャンプ初心者なので、色々とヘマをやらかしそうですが・・・



小松海岸の夕暮れ


1999年8月28,29日徳島小松海岸(1日目)

今回は初めてのトレックキャスティング。(私が勝手に作った言葉で、はっきりとした定義は無いのですが、車を使わず、電車やバスで釣り場近くまで行き、釣り場まで少し歩き、野宿をするような投げ釣りのことをイメージしてます。)出発前夜に数ヶ月前から今日の為に揃えた道具をパッキングしたのだが、徳島の地図を忘れたと気づいたのは、早朝6時過ぎバス停に着く寸前だった。「まあ良いか一人旅だし。」とあまり深く考えずに出発しましたが、地図は持っていくべきでした。

高速バスのトランクにクーラー、竿、そしてテントなどを積み込み出発。2時間あまりで目的地の工業団地前に到着する。さあトレックキャスティングの開始だと歩き始めるが1分もしないうちにキャリーカートを引っ張る腕がつかれる。とりあえずコンビニで食料や氷、水を買う。夜の暇つぶしの為に文庫本を買おうと思うのだが売ってないので、仕方なく雑誌を買う。5Kg以上は確実に太った荷物は先ほどよりずっと重くますます不安が頭をよぎる。

私の予想では一時間半くらいで小松海岸に到着予定であるが、それでは9時半からの釣り開始となり朝の時合を逃してしまう。数100m歩くと市バスのバス停があったので時刻表を覗きこむと数分で到着のようだ。ここは市バスでショートカットすることに決めバスに乗り込む。土曜日とは言え朝の出勤時間のバスの中でぼくのキャリーカートは居場所がなく、もし後ろに座っている人がバスを降りることになるとずいぶん迷惑をかけそうで、肩身が狭い。幸い誰も降りずにいくつかのバス停を通りすぎ、目的のバス亭に到着。

吉野川の左岸沿いの2車線の道路を海に向かって歩く、日差しが強く汗が道にポトポトと落ちる。大幅に予定を過ぎた10時過ぎ、やっと小松海岸の中央付近に到着。海岸では鱗友サーフの方が釣りをしている。

10時半頃から竿を持って海に行く。さすがに超有名人の瀬尾さんに声をかけるのは気が引けたので、すぐ隣に居られた、やはり有名な山村さんに釣況を少し聞いてから釣り始めるが全然釣れない。今日もキスは遠くにしかいないようだ。しばらくすると「瀬尾です」と瀬尾さんから挨拶にこられる。疲れと暑さで完全にボケていたので、何を話したか良く覚えていない。失礼がなければ良いのであるが・・・。

私のすぐ横で釣っている方は次々と連でキスを釣っているのを横目で見ながら色々と小細工するが全然釣れない。11時半頃疲れでひとまず納竿して休憩する。釣れたキスはたったの15尾。1日目のキスはもって帰る気がしないので、もって帰る人を探したが残念ながら見つからなかった。

昼食にはとんこつ味のカップラーメン。その後体力を温存しようと休憩場所を探すが日陰はない。テントのフライと1脚を使って、即席のタープを作るが風が強く音がうるさくゆっくり出来ない。それに暇で時間を持て余す。テントを張っても当然暑くて寛げそうに無い。トレックキャスティングにはタープがいるな〜。仕方ないので時間つぶしに釣りをする。

一人残って釣りをしていた、鱗友サーフの吉野さんと少し話をして釣り開始。この方は60歳を過ぎてから3大会(J-CUP、G杯、オーナーカップ)の決勝に進出している凄い方で、この日も束釣りされていた。波打ち際で釣りをするのが、一番涼しいようで、段々体力が回復してくる。14時を過ぎると元気になってきて気持ち良く錘が飛ぶようになる。風は向かい風なのであまり飛ばないが・・・

3本バリの時間つぶしの釣りでも型の良いキスがポツリポツリと釣れかなりの数になってきた。それに3本バリだとなぜかバナナにならないので、能率が良い。

夕方になって少し過ごしやすくなってきたので、翌日の朝に釣りをする体力を温存する為一旦釣りをやめる。道具を置いている場所に戻ると、おじさんが「釣れますか?」とたずねてきた。この人にキスをあげようと思い話をする。

おじさんは今から焚き火をして貝を焼くそうで、5,6尾のキスなら貝と一緒に焼くからともらってくれる。この海岸では大きな貝が良く取れ、潮が引くと釣り人より貝取りの人のほうが多くなる。そしておじさんの知り合いが海水浴場の方にいるからと、結局キスを全部もらってくれる。渡す時に数を数えたら47尾だった。しばらくするとスケボーに乗ったにーちゃんがやってくる。なんとおじさんの知り合いとは、この若いサーファーのことだった。にーちゃんは一言恥ずかしそうに「ありがとう」といって、キスの入った袋を持ってスケボーでひゅ〜っと去っていった。

「一緒に貝を食べません?」
おじさんは誘ってくれた。私は
「家族水入らずで食べてください」
と気を使って答えたが、おじさんにとってその返事がずいぶん辛い物だとは、その時は知る由も無かった。

海岸には私とオジサンだけになり。私がここまで国道から歩いてきたことを話すと、おじさんはこの海岸に今月の16日からずっといると話してくれた。今日で約2週間だ。そう言えば良く日に焼けている。さっきのサーファーも海水浴場でバイトをしながらずっとここにテントで住んでいるため、友達になったそうだ。おじさんの好意に甘えて焼き貝を頂くことにする。この貝は青柳、ばか貝と呼ばれる貝だそうだ。そう言えば酢味噌で合えたものを食べたことが何度かある。キスも流木に刺して美味しそうに焼け始めている。実はおじさんは今年心筋梗塞で倒れた後会社をやめて、奥さんとも昨年離婚して今は一人なのだそうだ。会社を辞めてから、ここでひと月ほどのんびり暮らすつもりだそうだ。取り立ての砂を含んだ貝はおじさんの人生を感じるような味がした。

おじさんからビールも勧められたが、酒が弱く、まだテントの設営など、することがあるのでお断りをし、釣りを再開する。今夜はキス飯の予定だったがおじさんにあげたので、既にキスは一尾もいない。なんとか晩飯のネタを釣らなくては。でも、こういう時にはなかなか釣れないもんだ。ピンギスを一尾釣った後仕方ないのでガッチョを一尾キープする。おじさんにあげたキスは「意地でももらわへんで〜」と少し暗くなり始めた中最後の一投。気合いを入れて置き竿にして小用をする。(^^;)\(--メ)ボカッ

なぜか釣れた最後に一尾とピンギス一尾、そして皮を剥いたガッチョを使ってキス飯を焚く。テントの設営も同時にはじめたが、気が付くとご飯がふきこぼれていた。なんとか炊けたご飯の底はかなりこげていて、私の夕食もほろ苦かった。水が心細くなっていたので、おじさんに水は無いかと尋ねると、すぐそばの公園の水飲み場まで軽の1BOXカーで連れて行ってくれる。おじさんはこの車で寝泊まりしているそうだ。途中さっきのサーファーが寝泊りしているテントも指をさして教えてくれた。水を汲みに行った後もおじさんは黙々と貝や、鳴門金時を焼いて食べている。さすがに寂しいのかプロ野球の放送を聞きながら・・・

日が暗くなってきたので、テントに入りボーっとする。雑誌は面積が大きい為、ヘッドランプのスポット光で読むのは面倒だ。文庫本なら読みやすいのだが・・・。しばらくするとドーン、ドーンとやけにうるさい。外に出て見ると花火だ。北西の方向で花火大会をしているようだ。おじさんも車から出てきて見ている。おっさん二人で花火を見た後私は散歩にいくことにする。小松海岸の入り口を少し越えたところにジュースの自動販売機があるので、そこまで行こうと思ったのだが、そのまま少し歩いて銭湯まで行くことにした。先日のOLMのときに行った銭湯で、300円で入浴でき、タオル、シャンプー、リンス、石鹸の入浴セットもあるのを知っていたからだ。

銭湯を出て、ジュースを買ってテントに帰ってくるとおじさんは既に寝ているようだった。片道30分ほど掛かるし、風呂もゆっくりと入ったから当然かな。蚊もいないし、テントの入り口を全開にして眠る。


1999年8月28,29日徳島小松海岸(2日目)

朝起きると少し明るい。よく寝たのかな?と思ったのであるが時間を見ると4時過ぎであった。もうちょっと寝ようとするが眠れないので4時半頃から起きてゴソゴソする。5時頃になると釣り人がぼちぼちやってくる。お一人は昨日もお会いした鱗友サーフの吉野さんで、話をしながら、吉野さんの釣り方をチェックするが、良く分らない。朝一は近投でも釣れたようだが、すぐに釣れなくなり、遠投を繰り返している。60歳を過ぎているのに見事なキャスティングだ。せっかくだからと記念写真を撮らせていただいた。私も後20年くらいは現役で投げ釣りが出来ると思うとうれしくなってきました。

6時頃カップラーメンとコーヒーの朝食を済まして釣りはじめるが、全然釣れない。吉野さんは順調に釣り続けているので、全く釣れない状態が続く私は焦る、焦る。場所を吉野さんの左から右に変えるとやっと本日の1尾目が釣れるが、すぐに漁船がやって来て作業を始める。朝の散歩のおじさんがやってきて、吉野さんも漁船がやってきて急に釣れなくなったとぼやいていると教えてくれる。それでも吉野さんの仕掛けにキスは付いている。こちらはなかなか後が続かない。それに貝掘りの人が目の前にやってきた。

3度目の場所替えは吉野さんと別れ、かなり離れた場所に行く。何とかこの場所でやっと釣れ始め、連も出るようになる。私の飛距離(追い風を使って6色チョイ)では、どうもピンポイントにしかキスは居ないようで、少し方向がずれると釣れない。4連で来たと思ったら次は素バリ。エサを変えたら5連「そうか小松のキスはグルメなんや」と思ったら、次は古いエサで6連。結局「小松のキスは気まぐれ」としか分からずじまい。15本鈎も試したが8連が最高だった。

順調に釣れていたのだが、また船がやってきたので場所替え。でも、少し場所を変えるとあまり釣れない。少しずつ場所を変えるが先ほどの場所ほど釣れる場所は発見できなかった。

暑さでぼけてきたので、はっきりとは覚えていないが、納竿したのは11時頃だと思う。昼食にカップ焼きそばを食べ、エサ箱やコッヘルを洗っていると、釣り人が帰ってきた。「5時から釣ったのにたった47尾や、だいたい6色くらいで釣れた。」と話していた。私は70尾くらい釣ったとその方に言ったのだが・・・

テントを片づけ撤収する。帰りは少し荷物が軽いが、キスがクーラーに入っているので結局あまり代わりはない。それでも、足は気のせいか昨日よりずっと軽い。気持ちに余裕が出来たので、歩いているところの記念写真をセルフタイマーで撮る。昨日来た道を逆に歩いたのだが、歩くのが楽になると今度は道が狭い上、車の往来が激しい道を歩
くのがあまり気持ちの良いものでないことに気が付く。実はもっと車の往来が少ないはずの道があったのだが、地図を忘れたため少し不安なのと、バスが走っている道の方がもし疲れてしまったときに安心なため、吉野川沿いの道を選択したのだ。でも、体調がよいのでバスの力を借りる必要がないのだから地図さえあれば道を帰れたのにとか
なり悔やみながら歩いた。

体は楽なのだが、やはりキャリーカートを引く手は疲れる。だんだんと引く手を右手、左手と変える間隔が短くなり、少しの距離を歩くとすぐ休憩をしてしまうようになる。途中豚小屋があり凄い臭いで息もできなくなると、突然ペースが上がり今までの4倍くらいの距離を歩いていた。「豚小屋エキス入りのドリンク剤を作れば、オリンピックでも新記録続出とちゃうか?」などと、真夏の太陽でぼけた頭で考えながらふらふらと歩いた。相変わらず車の往来は激しく、中には窓を開けて何か声をかけて通り過ぎる車もある。もちろんあまり私には楽しくないような言葉だが、きっと車に乗っている方にとっても私はホント邪魔者にうつるのだろうから、仕方ない。

クーラーの中の氷がほとんど溶けて無くなっているので、来るときに見つけたエサ屋で氷を買おうと思いながら歩いていたのだが、なぜか発見できずに国道まで来てしまう。国道の向こう側にローソンがあるのだが、信号もなく行く方法が無く悔しい思いをしていると、今度は国道から高速道路への進入路のため、かなりの遠回りを強いられ
る。この付近から道沿いに水路が現れたが、なんと魚だらけ。ものすごい魚口密度だ。そして歩道の人間の密度もこの付近から増えてきて、キャリーカートは自転車の進行にとってずいぶんじゃまのようだ。

来る時は市バスを使って移動した国道だが、今回は特に急ぐ必要も無いので歩くことにした。実は海岸から国道までと、国道から高速バスのバス停までは同じくらいの距離なのだが、国道沿いを歩く方がずっと短く楽に感じた。バス停までまだまだだと思っていたのだが、目の前にローソンを発見。来る時に寄った店だ。ここまで来たら着いたも同然だと思い嬉しくなったその瞬間キャリーカートから異音が・・・

とりあえずローソンで氷を買いクーラーに入れ涼むために店の中でボッとする。来るときは見つけられなかった文庫の棚を発見する。あのときは焦っていたんだなーと、妙に感慨深くなる。

ローソンを出発してから急にお腹が減り、次のコンビニでおにぎりとジュースを買い、迎えに来てもらうため自宅に電話を入れ、バス停に向かう。キャリーカートは相変わらず異音をたてているが、何とか到着だ。バスが来るまで後15分くらいちょうど良い時間なので、のんびりおにぎりを食べ、予定よりかなり遅れてやってきたバスに乗り神戸に向かう。

なぜかバスは神戸には予定通り到着し、迎えの車に乗り込む。70尾くらいは釣っていると思っていたので、とても今日は魚を全部は捌けないと思い途中知人の家に行き20尾
ほどプレゼント。

家に帰って重さを量ると35尾1.1Kgでした。知人に渡した20尾も同じ重量であると思われるので、計55尾、約1.7Kgと思われる。思ったより釣っていない。型が良かったので錯覚していたようだ。

今回のキスは30尾ほどを3枚におろしてハウスの香草パン粉焼きの素を使いオーブンで焼いた。味の方はまあまあだが、簡単にたくさん食べることが出来る料理であるので、数釣り師には、なかなか便利な料理だ。残りの5尾は刺身にした。そして残りのアラこそ今回のメイン料理キスラーメンの材料だ。

2日掛けて作ったキスラーメンはたった一杯分だったが、十分満足できる味だった。濃厚な味なので、少し薄めればラーメン2杯分を作ることが出来るだろう。

1日目49尾、2日目55尾は正直言って目標の半分で悔しい思いをしたが、今年釣ったキスの総数はは通算25回の釣行で、1010尾。と、今年の始めに立てた目標ぎりぎりの25回目で達成できた。平均40尾はちょっとしんどかったが、このホームページを見てくれている方や、すなはまの皆様方の応援で、何とか達成できた。みなさんホントにありがとう。



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