こだわりの店 〜ランチメニュー〜
マスター(内村)
客1
(原田)
客2 (南原)
客3 (名倉)
客4 (堀内)
○喫茶店
コーヒー専門店風の店内。カウンター席の客とマスターの会話。
客1 「…ああ、いい匂いだ。友達から聞いてたんですよ、この店に一度行ってみろって」
しきりに感心する客を前にマスターは嬉しそう。
マスターのいるカウンター後ろの壁には、アイリッシュコーヒー・カプチーノ・ターキッシュコーヒー・モカジャバ・マシュマロコーヒー・コーヒーアマレット・カフェバレンシア…等々のメニューがある。”当店では厳選された豆だけを使用しており…”との張り紙も見える。
客1 「こんなコーヒーのいい匂いの中にいられるマスターって、うらやましいな」
マスター 「コーヒーの香りっていうのはね、人を癒す効果があるんですよ。最近流行りのアロマなんて比じゃないです」
客1 「ねえ、このお店の豆って、マスターが作ってるって本当ですか」
マスター 「毎朝、5時に起きて、豆の選別から始めるんですよ」
客1 「へえ」
マスター 「お客さまに合うかどうか、やっぱり自分の目で判断しないと気がすまなくてね。で、その中から、その日のぶんだけを挽くんです」
客1 「いやあ、すごい。なんかすごく贅沢で、飲むの緊張しちゃうなあ」
マスター 「いや、何も気にしなくていいんですよ。あくまでも、作る側のこだわりですから。お客さまがたは、たかがコーヒーだと思って、気軽に注文していただければ結構です」
客1 「そうですか。そう言ってもらえるとラクになります」
マスター 「さあ、何になさいますか」
客1 「じゃあ……焼きうどんください」
マスター、固まる。
と、ボックス席のほうから別の客たちが次々に、
客3 「マスター、こっち焼きソバね」
客2 「俺、焼き魚定食」
客4 「ねえ、このタコ焼きタコ入ってないんだけど。あとぬるい」
マスター 「……はい。ただいま」
壁のコーヒーのメニューの隣りには、牛丼・ラーメン・カレーライス・タコ焼き・焼うどん、各種定食、日替りランチメニュー等々の手書きのメニューが所狭しと貼られているのであった。
客2 「あ、マスター、焼き魚やめて、今日のランチの生姜焼き定食にしてくれる」
マスター 「ランチには、コーヒーがつきますけど…」
客2 「いらない(即答)」
マスター 「……(カウンターの客に)お客さま、コーヒーは…」
客1 「いりません(即答)。コーヒーゼリーだったらいいですよ」
(2002.6.16
O.A.)