ボランティアワークキャンプ


 サンクチュアリではたくさんの方々にボランティアとして協力いただいています。その中でも年2回のボランティアワークキャンプでは、定期的にサンクチュアリの活動に協力いただいています。

●ボランティアワークキャンプとは?

 大学生を中心としたボランティアグループF.A.ネットワークの活動として、春と夏にそれぞれ1週間、10名前後のグループにきてもらい、サンクチュアリの活動に協力してもらっています。

「F.A.ネットワーク」に興味のある方はこちらをクリック → http://www005.upp.so-net.ne.jp/fan/


●2008年夏のボランティアワークキャンプでの活動

 今回は大きく分けて2つの活動を行ないました

 一つ目の活動では、当会の早瀬野鳥保護区温根内への調査方形区の設置を行ないました。
 早瀬野鳥保護区温根内は、タンチョウの営巣が確認されていたため、1990年に設置された保護区です。ハンノキの増加により、1994年からタンチョウが営巣しなくなってしまったため、タンチョウの営巣環境であるヨシ原の復元を目的として、方形区を設置、方形区内のハンノキを伐採しました。その後継続的にハンノキの伐採を実施したところ、2002年にはタンチョウの再営巣が確認されました。タンチョウの営巣地復元の詳細はこちらをご参照ください。
 これらの環境管理活動とともに、方形区内では植生調査やハンノキの萌芽調査といった環境の変化を把握するための調査も同時に実施されてきており、今回はその調査の前準備として、老朽化により分からなくなった方形区の再設置を行ないました。調査区の基準とされている木を目安に20m×30mの長方形を設置し、その四隅に目印となる塩ビパイプを立てました。
 足場も見通しも悪い湿原を歩くことは、慣れない学生たちにとっては大変なことだったと思います。泥に足をとられたり、深い藪を掻き分け道を作ったり、途中で道に迷ってしまうこともありました。しかし、これらの活動や苦労を通して、タンチョウの暮らす湿原環境について考えてもらうきっかけになったのではないかと思っています。

 二つ目の活動では、タンチョウの解説に使用する教材を製作してもらいました。
 サンクチュアリでは、より多くの人にタンチョウに興味・関心を持ってもらうために普及啓発活動を行なっています。センター来訪者への解説や学校への出張授業、講演などの場において、日本最大級のタンチョウの大きさと重さを体感してもらうことは、タンチョウへの興味・関心を持つきっかけの一つになると考えています。そのため、今回はタンチョウの等身大パネルとタンチョウの等身大・等重量のぬいぐるみの2つを製作してもらいました。
 等身大パネルはプラスチックの板を切り抜くところから、ぬいぐるみは型紙から布を切り出すところから始めてもらいました。プラスチックの板は思っていたよりも厚く、切り抜くのにかなり苦戦していたようです。また、ぬいぐるみも全て手縫いだったため、細かいところまで集中して頑張ってくれていました。
 ほぼ2日間にわたった教材製作でしたが、全員が互いに協力し合い、立派な教材が完成しました。色々と苦労があった分、完成したときの感動はひとしおだったでしょう。今回製作してもらった教材はサンクチュアリで有効に活用させていただきます。

 雨に降られることの多かった今回のワークキャンプですが、湿原の中を実際に歩き、タンチョウを初めとする多くの生き物が暮らす環境を肌で直接感じられたことは、学生にとって貴重な体験になったことと思います。また、湿原やタンチョウの保護に携わる多くの方々との出会いもまた、大きな刺激となったことでしょう。

※方形区……調査地区を決まった長さの四角形で区切ったもの。


教材製作のようす その1
等身大・等重量のぬいぐるみの製作。
型紙から一つ一つパーツを起こします。
教材製作のようす その2
2種類の教材が完成しました!
後ろがタンチョウの組み立て式の等身大パネル。
巣の上に座っているのがぬいぐるみです。


野外セミナー その1
温根内ビジターセンターの木道から湿原を眺める。
一言で湿原と言っても、様々な景観があります。
野外セミナー その2
トラストサルン釧路の植林地を見学。
湿原を守る活動の一つとして紹介しました。

※野外セミナー
サンクチュアリがワークキャンプ参加者にタンチョウ保護活動や釧路湿原への理解を深めて
もらうために設けた、保護関係者や地元の方のお話を聞いたりしながら。周辺を1日見学して
まわる日のこと。


●2008年春のボランティアワークキャンプでの活動

 今回は、主に「給餌場における採餌量調査」に協力してもらいました。

 「給餌場における採餌量調査」は、越冬環境の保全として、自然採食の促進・人工給餌への依存緩和を目指す新たな取り組みの1つです。この調査は、給餌場に飛来した、個体識別のできる足輪つきのタンチョウを望遠鏡で追って観察し、食べたトウモロコシの数を数えます。そのため、調査員が多ければ、それだけたくさんのタンチョウの採餌量調査ができます。

 3日間に渡り、この調査の調査員として協力をお願いしました。厳冬期に終日野外の調査は、本州から来た学生たちにとって、きつい調査だったと思います。到着翌日からの調査のため、到着したその日に、調査内容の説明とタンチョウの採餌シーンを撮影したビデオで採餌したコーンの数を数える練習をしてもらいました。調査当日も、対象個体が給餌場に飛来するまで、他のタンチョウで練習をしました。その甲斐もあり、徐々に調査には慣れてきたようでした。

 調査活動の他、レンジャーが鶴居村や釧路湿原を学生たちに案内して巡る「野外セミナー」も行いました。村内をまわりながら、給餌人の方や農家さんから昔の話や現況の問題などをお話していただきました。
 最終日には、鶴居村の地域の方々やこれまでに採餌量調査に協力していただいた方々との懇親会も行いました。懇親会の場では、学生たちに、F.A.ネットワークのボランティアワークキャンプという活動がどのような活動なのかということと、今回協力してもらった「採餌量調査」の活動の意味と3日間の調査で感じたことなどを発表してもらいました。

 ワークキャンプを受け入れた私たちにとって、今回の調査で得られたデータ量は貴重なものであり、協力してくれた学生たちにとても感謝しています。また、学生たちにとっても保護活動の現場で体験したこと、感じたこと、様々な人との出会いなど、それぞれに得るものがあったのではないかと思います。

2008年2月15日〜2月21日 春のボランティアワークキャンプの活動風景

採餌量調査の様子 その1
寒さに耐えながらの調査です
採餌量調査の様子 その2
記録者に分かりやすいように、調査している対象個体の足輪番号が背中に貼られています
野外セミナー
恒例の細岡展望台で夕陽観賞

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