繁殖地のヨシ原環境の復元
早瀬野鳥保護区温根内で続ける「タンチョウ繁殖地のヨシ原環境復元活動」により、2002年には1994年以来8年ぶりにタンチョウが営巣し、その後5年連続で営巣が確認されています!

 日本野鳥の会で所有している保護区「早瀬野鳥保護区温根内」では、タンチョウの営巣する湿原環境を復元する活動を行っています。この湿原は、1994年以来タンチョウが営巣しなくなった場所であり、その解決に向けて、1999年から実験的な取り組みとして始めました。
 そして、2002年春、再びこの湿原でタンチョウが巣を作り、2羽のヒナを孵しました。以降、5年連続で営巣が確認されています。

 タンチョウの営巣地として代表的な釧路湿原は、ヨシ原の広がる開けた環境が中心でした。しかし近年、湿原にはハンノキの林が目立つようになりました。その原因は、周辺丘陵地の開発により、砂や土が川に流れこんで堆積し、ハンノキが生えやすい環境になったため、と考えられています。

1947
ハンノキ林   丘陵地

1992
ハンノキ林   丘陵地
釧路湿原のハンノキ林の変化(原図:新庄久志氏)

 ハンノキ林の増加は、湿原の乾燥化を表しています。ヨシ原に巣を作り、湿原の生き物を餌にして生きているタンチョウは、湿原の豊かな生態系のシンボルです。でもハンノキ林が増えると、タンチョウは巣を作れなくなります。農地などの開発で住みかの湿原を奪われた上に、残された湿原も人間活動の影響で悪化しています。
ヨシの枯れ茎を巣材にした巣で卵を抱くタンチョウ 湿原周辺の丘陵地で樹木が伐採されたことが原因で釧路湿原でハンノキが増えています。

 日本野鳥の会が1990年に設置した早瀬野鳥保護区温根内(鶴居村温根内)でも、ハンノキ林が増えて1994年以降タンチョウが巣を作らなくなりました。そこでタンチョウが再び巣を作れるように、人為的に増えたハンノキ林を除去して本来のヨシ原に戻す、という環境管理を1999年から始めました。これまでの伐採により、5000uの開けた空間が広がりました。
数多くのボランティアの協力によりハンノキを伐採しました ハンノキ伐採後の開けた空間

 この環境管理は、伐採後のハンノキ再生の様子や植生を調査する事により、環境の変化を慎重に判断しながら行っています。伐採区域では、確実にヨシ原が広がってきました。
 今後も伐採と調査を続け、前例のないタンチョウ生息環境復元のために必要なデータを集めていきます。
伐採後、数年でヨシ原が広がってきました。 毎年8月ごろ、伐採後の湿原では、伐採によって植生がどのように変化しているか、多くのボランティアの協力によって調査が実施されています。

 この活動を始めて4年目の2002年春、保護区内の伐採区に隣接する湿原でタンチョウの営巣が確認されました。1994年以来、8年ぶりの営巣の確認です。その後、2003年、2004年にもほぼ同じ位置で営巣が確認され、2羽のヒナも確認されています。2005年も航空調査により、営巣が確認されています。これまで延べ256人の協力により得られた成果です。
2002年の営巣状況
保護区内の伐採区のすぐ脇で営巣していることが確認されました。(写真提供:タンチョウ保護調査連合)
2004年に確認したヒナ
※保護区を見下ろす数百m離れた丘の上から超望遠レンズを使って撮影しています。

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