【虚構の時間】

あれは18の冬だった

この季節としてはなま暖かい雨の夜だった

彼女と別れて一週間

カメラバッグ一つ持って旅に出た

見知らぬ土地で見る光景

しかしどこかで見たことのあるようなオブジェ

それは淡い光に抱かれ

都会の喧噪の中で不思議な静けさに包まれている

ライカM3の穏やかなシャッター音に癒されるひととき

親父の唯一の遺品である

フィルムはトライXにD76原液の

高温現像がそのときの僕の心を最も鮮明に

映し留めてくれる気がした

そして印画紙はイルフォードのセミマット

気がつけば30日が過ぎていた

石段を駆け下りると撮影済みのパトローネが

カラカラと音を立てていた

財布は空っぽなのに、不思議な充実感が・・・

撮りためた写真の中から18枚を選んで

あの頃の僕を綴ってみた

そのとき僕は はっと目が覚めた

あっ、みなさんにお詫びをしないと・・・・

ごめんなさい 本当に申し訳ありませんでした

実は・・・僕は嘘をついてました

なにがって、、、総て、、、全部が嘘でした

47才の今日、普段と変わりない一日

いつものように犬の散歩に出た

ライカではなく携帯ポケットに

何の想いも創作意欲もなく

約30分間の散歩の途中

いつもの公園で撮った中の18枚

興味のない被写体を無造作に撮影

そして、どこかの誰かが過去に創作したかもしれない

虚構のイメージを再現した

ただそれだけのこと

私はこういう作風の作品が大嫌いだ

なにもないものをあたかも自分の心象風景風に

意味ありげに撮っても中身は何にもナシ

どこにも人の心が入ってなくても

あとからこじつけ可能な世界

最初からフィクションならそれで良いが・・・

しかし、知らず知らずのうちに作者は

その世界に酔いしれてしまう

そしてそれをアートだと勘違いする

もうおしまいだ

人の作品は批判できない

その人なりに一生懸命やったことには・・・

だから類似品を作って訴えた

最初から何の考えも興味もなく撮った

一連の写真はとうてい作品とは呼べない

愚作以前のくず写真だって事を

真っ赤な偽物だって事を

見抜いておられた方は是非私にご一報下さい

貴方からはきっとたくさんのことを

学ばせて頂けそうです

既に人生の後半、いや終盤を迎えてる?私

人生も写真もこれからが勉強です

ご連絡お待ちしております

後味の悪い思いまでさせてしまいましたが

最後まで見てくださった貴方に

= あ・り・が・と・う =