CG2000年2月号の「福野礼一郎のモノ作りの現場」にキーについての記事がありました.セルシオと同じ内山式のキーの分解写真も載っており,キーの構造もよくわかりました.

セルシオのキーは外側に溝が切ってある一般的な「外山式」ではなく,側面部に溝が切ってある「内山式」です.

これは外山式キーの構造イラスト

キーを差し込むとキー外周のギザギザの山がロックプレートを上下に押してロックプレートの引っかかりが引っ込みローターが自由に回転できるようになる.

セルシオのような内山式はキー側面の溝にロックプレートの出っ張りがはまっており,溝の位置によってロックプレートが上下に動き引っかかりが外れる仕組み.

CGの記事によると「日本において1年間に車両盗難が3万6000台.1000台当たりに換算するとおよそ0.5台」とのこと.しかしセルシオに限定するともっと率は上がるでしょうね.泥棒にはセルシオは人気商品ですから.

泥棒はピッキングツールという専用ツールを鍵穴から突っ込み,このロックプレートを押し上げて解錠するわけだ.外山式に比べて内山式はその作業がしにくいようだが,そこはプロ,内山式のキーでも解錠できるらしい.

イタリアのSILCA社のRW100.

チップ内蔵タイプのキーのIDコードを読み書きできるマシン.

下はキーに内蔵されているチップ.

たかがキーですが,されどキーです.
普通のキーとは,ただ溝の切り方が違うだけですが,マニア心をくすぐります.

街のカギ屋さんではスペアキーを作ってもらえません.


ところが,悪賢い奴はいるものでこのIDコードを読みとり&書き込みできる電子機器もあるのだ.
これがあればスペアキーが簡単に作れてしまうのだ.

このためマイチェン後のセルシオはこの内山式キーの構造にプラスして,イモビライザーシステムと呼ばれるキー内部に固有のIDコードが入ったマイクロチップを組み込んでいる.

車両側のコンピューターがキー側のIDコードとの照合を行い,一致した場合にのみエンジンがかかる仕組み.

これでドアのキーを開けられて車上荒らしは防げなくても,車両まるごと盗まれるのだけは断固阻止できるのだ.