恐ろしいRVの過剰武装
大流行のRVのノーズに,これ見よがしにそそり立つアニマルバー,又の名をブッシュバーともいい,バンパーガードともグリルガードともいうが,要するに同じようなものである.あんなものは止めよう.無用どころか,百害あって一利もない.いざという時に非常に危険である.もともと自然に親しみ,人間性を回復するための道具だったはずのRVを,どんどん社会の敵の側の追いやっている,とても理不尽なアクセサリーである.少なくとも,れっきとした自動車メーカーが嬉しそうに取り付けたり,カタログに載せたりするのは,今すぐ止めてほしい.あんなものを売り物にしているメーカーには,自動車の安全性を語る資格などないと思う.たしかにあんなものも,元を辿れば立派に存在理由がある.(途中略)
だいたい日本のRVオーナーのほとんどは,別に道路でないところを征服するためではなく,どうしてもRVでなければならないわけではない用途に使っているのが実情である.中には生涯タイヤに泥など着けたこともない例だって珍しくない.いつもピカピカに磨き上げられた都会のRVなど特にそうだが,今どきの東京にはサイやゾウどころかツキノワグマもカモシカもいない.(途中略)つまり単なるファッションでしかない.(途中略)実はこのバーの類,きわめて危険なのだ.あの種のバーに当てられると,普通のボンネットの数倍以上のエネルギーが,限られた狭い部分に集中し,深刻な損傷をもたらすのだそうだ.(途中略)最近の高性能RVユーザーときたら,なまじの乗用車では太刀打ちしにくいほど強引で速い.まあ,飛ばすなとは言わないが(言いたいが),せめてあんなものぐらいは外してほしいものだ.
CG 1995.2 EDITORIAL(熊倉 重春氏)より無断転載
webmasterの独り言:車の雑誌なのに自動車メーカーのやり方の理不尽さをここまで書いてくれるのは,やっぱりCGですよね.最後の一言がまたいいですね.

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