路肩エレジー
高速道路が渋滞すると,必ずと言っていいほど,路肩を走り始めるクルマが現れる.1台現れると,きまって2台,3台と続き,そうなるともうたいていの場合,道路の左端がけっこうな高速車線に変身することになる.遵法精神に溢れた善良なドライバーにとって,なにが不愉快といって,これほど不愉快な光景はないだろう.
いうまでもなく,路肩を走るのは,悪いことだ.もちろん道交法でも禁止されている.完全に流れが止まってしまうようなひどい渋滞になると,我慢しきれず路肩で用を足す人がいる.子どもにオシッコをさせるお父さんお母さんもいる.そんな人たちが不意に左側のドアから出た拍子に,クルマがやってくれば,それこそ大惨事である.
だが,路肩走行が嫌われるのは,そのためだからではない.違法だとか,危険だとかいう以前に,単純に「ズルイ」からである.人を出し抜いて,自分だけが先に行こうとする.いわば道徳,モラルの問題.だからこそ忌々しく,見苦しい.(途中略)
以前,高級外車を扱う並行輸入の外車屋を取材したとき,そこの社長は,ベンツほど路肩を安心して飛ばせるクルマはないと,平然と言ってのけた.正規の走行車線ではないから,路肩の舗装は荒れていることが多い.しかし,足周りの安定したベンツなら,なんの不安もない.路肩を走るクルマにベンツが多いのは,オーナーのマナーが悪いからではなく,クルマが優秀だからなんです,とうのがその社長のおかしな理屈だった.
一方,そんな「濡れ手に粟」の行為,許すまじという正義漢もいて,路肩走行が始まると,クルマを半身,左にずらし,やってくる無法者を阻止する人をたまに見かける.道幅を考えると,自分が走れないからなおさら頭にくるのか,同じ方法で乗用車をブロックするダンプを見たこともある.いずれにしても,なかなか立派な行いだとは思うけれど,個人的にそこまで糾弾する気にはなれない.(以下略)
今朝,僕はクルマの夢を見た(下野 康史)より
webmasterの独り言:外車屋のタコ社長,ピントがずれてますね.やっぱりマナーが悪いんですよ.セルシオもベンツに負けないくらい路肩走行性能はいいと思いますが,絶対したくない!

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