初代セルシオの発売直前に雑誌「NAVI 」1989.11月号に徳大寺 有恒氏,岡崎 宏司氏,舘内 端氏,鈴木 編集長の4氏がアウトバーンでセルシオに乗った感想を述べておられました.面白い所だけ抜粋しました.

ATのセレクターをDレインジに入れ,車をスタートさせた.アウトバーンに乗り入れるまで,一般路における印象を,静粛性,乗り心地,各操作系の感触を含めて述べよ.
舘内氏「まず驚かされたのは,駆動系の熟成ぶりであった.Dレインジにセレクトした時の「コツン」というショックがあまりにも小さいのだ.高級車は特に駆動系において,いかなる場面でも粗野であってはならないという,トヨタのクルマ作りの信念が感じられたのだ.」
徳大寺氏「予想通り大いに静かかつスムーズである.その静かさは,ちょっと信じがたいくらいだ.」

レクサスのセリングポイントのひとつが静粛性といわれる.運転席で味わうのは,いったいどのような静けさなのか.何にたとえられるだろう.例:時計の音‥‥すらデジタルのため聞こえない.立石寺のように瞑想的な静寂.
徳大寺氏「レクサスの静けさは,100km/h以下はちょっと無響音室のようである.しかし,もっと押し進めると,これは京都の名底のごとき思索的なものとなり得る可能性がある.つまり,外国人,特にアメリカ人は,このレクサスの静けさを,東洋の“静”と受け止めてくれる可能性が大きいと思うからだ.」
舘内氏「鍾乳洞の奥深くにわけ入り一人静かにたたずんでいると感じられるそれほど高尚な静寂感ではなく,むしろ無響室で感じる外界から閉ざされた密閉感に近い,そんな静粛性である.」
岡崎氏「一般道レベルにスピード域での静粛性は圧倒的に高い.無条件で拍手を贈る.「霧雨の音さえ耳に届く‥‥」といったイメージだ.車外の音の遮音性も高く,暗騒音の高い繁華街などでも,まるで防音室に入ったような印象すら受ける.しかし,130〜140km/hあたりからは風切音の高まりが気になりはじめる.160km/hを越えるとそれはかなりのレベルにまで高まる.」

いよいよアウトバーンに乗り入れた.ズバリ,何キロ出したか?またそのときのフィール,気持ちの昴りを忠実に記せ.
徳大寺氏「150mphである.キロにすると240km/h.そこはほぼフラットの長いストレートだった.最も驚かされたのは,100mphあたりから130,140までの速さで,それは充分に加速を感じさせつつ達成している.また,後にライバルとして用意されていたメルセデス420SELに乗り換えた時,これと比較していかにレクサスの加速がすごいか,改めて思い知らされた.」
岡崎氏「ゆるい下り坂ではメーターの針は270km/h付近を指した.メーター誤差は最大5%くらいと聞くが,となれば補正しても265km/h以上には達していたことになる.」

オイルも温まったところで聞く.新開発のV8エンジンは,高級車のパワーユニットとしてふさわしいものなのか.
徳大寺氏「スムーズネス,静粛性,適切なトルク特性,そして燃費という点で,現在世界最高のV8エンジンと認める.それに加えて(おそらく)信頼性も持っているのだ.このレクサスV8に対抗できるのは,フェラーリは別格として,アウディの3.6LV8があるだけだろう.」
舘内氏「このエンジンは極めつけだ.パワー,レスポンス,スムーズネス,静粛性,ドライバビリティー,どれをとっても一級品である.ただし,アメリカンV8のような「ズンズン」とくるような低速トルクをお望みの方は失望するかもしれない.」

アウトバーンでの主役度はいかに?ドライバーズシートに座りながら遭遇したエピソードを用いて解説せよ.
舘内氏「バックミラーに大きく映っていたBMW・Z1が執拗にからむので,アクセルをひと蹴りしたら豆粒のようになってしまった.」
鈴木編集長「レストエリアで遭遇したコラードに乗ったVWの実験部隊は,わざわざわれわれの出発を待って勝負を挑んできたが,本線合流後30秒もたたぬうちに勝負はついた.」

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