パフォーマンス!対ジャパニーズ・ホスピタリティー
都内で乗り始めた当初,400Eの加速はちょっとばかり元気な日本車にようやくリードを奪える程度だった.特にスタートダッシュの瞬間は残念ながらセルシオの敵ではなく,いささか失望させられたが,むろんこれには理由があり,本当の実力は決してそんなものではないことが走り込むにつれて判明した.(途中略)
(400Eは)加速するとV8特有のアメリカ車のような“ドバドバッ”がセルシオより早めに顔を出すが,不快でも何でもなく,むしろそれは迫力を演出するためのスパイスとして乗り手を刺激する.ただしセルシオに比べるとロードノイズだけは大きめ.(略)
レクサス/セルシオがデビューした時,これはこれで大したものだと思ったが,400Eの繰り出すカウンターアタックは予想以上に,腹にズシリを効く強烈さだった.発進が少しばかりモタつくといってもそれはほんの10mかそこらのこと.右足の動きで1速を選んでスタートするとオートマチックはトルコン・スリップが特に過大な様子もなく,思い切って踏み込めば3800rpm以上の最も得意とする領域に突入するのもわけはない.(略)
セルシオはデビュー直後に同じ仕様のCタイプが0-400m:16.0秒,0-100km/h:8.4秒を記録しており,それに比べると今回のテスト車(走行約8000km)は16.2秒,8.7秒とわずかに遅かったが,その差は小さく,もしかしたら生産過程で若干の変更があったのかもしれない.いずれにしても充分な速さというべきだが,400Eはさらに一枚も二枚もうわて.特にいったんスピードに乗ってからの伸びが歴然と違い,後半になればなるほど大差がついた.(略)
ステアリングもよく観察するとスタビリティーそのものは強風下でも400Eより真っ直ぐ走るほどしっかりしているのだが,絶対的に軽すぎるのとレスポンスが悪く,その結果,必要以上に無駄な操作を強いられることが多いのだ.ブレーキも同様,ソフトな足周りのことを忘れていきなりペダルを踏んづけたりすると,ガクンとつんのめって驚かされる.
(略)
最近のテストでこれほど車づくりに対する考え方の違いが如実に現れた例も珍しい.ひとことでいえば400Eはあくまでアクティブなドライバーズカー,対するセルシオはCタイプということもあってドライバーを含むパッセンジャーの安楽さにより重点を置いた車といえる.                          
CG 1992.6より
webmasterの独り言:ベンツ400Eでは相手が悪かった.CGの評価では400Eの方が上であったが,目指す方向が違うわけだから,セルシオはセルシオですばらしい車であることにかわりはない!

戻るにはこのページを閉じてください